ドロ沼


 課題はドライバーのお金が遅れた事。もう一点はウチのメインスポンサーとして約束していた会社が先週の金曜日、『今年に関してはモータースポーツを含め一切のプロモーションを止めます』と言ってきた事のWパンチ。
 ヒルのリチャードは『1イベントパスしてRd.2からにしよう』と、言い出し、大方は賛成。反対は自分だけ。なぜなら決まっているスポンサーの他の二社が〝全戦参加〟の契約だからだ。
 皆は軽く『1/8をカットすれば良い話しだろ?』と言うが、そうでは無い。下手したら契約そのものが飛ぶ。そこで『1イベント(開幕戦)だけ、主催者のテストカーを借りてノーブランドチームで出ないか?』と提案した。
 何故ならBF3はドライバーズチャンピオンシップは懸かっていてもチームタイトルは無い。だから極論言うとドライバーが他のチームで稼いだポイントも無駄にはならない事を確認していた。むざむざ1ラウンド/3レースの得点権利を失うのは余りにも惜しいと考えた。
 しかし他のスタッフは『チームタイトルもある』と、誤認識をした上で『No』。理由は『クルマが空いてない』だった。

 お前ら、どこの国に住んでんだ?ミーティングは散会し、マネージャーはドライバー親子のもとへ。自分にはモヤモヤ感だけが残った。〝大口スポンサーを失った上に他にも欠場を調整しなきゃならない〟と言うドロ沼にハマった。

しかし勘が働いた。

 「いや、クルマは必ずある」いっくらチーム内に言っても『無い無い、俺らは分かるから!』で動こうとしない。これがホンダが毎回F1でハマっているSAKURAの研究所の方々と外人との壁の一つだ。
 そこで勝手に動く事にした。しかし、もしその行動が、結果的にイギリス側で変なハナシになって飛び交い、混乱するのが嫌なのでドライバーのマネジメントサイドに電話。「今から俺がトリッキーな動きをする。もし確認が入ったら『Yes』とだけ言う様に」と伝えた。

 ここで仮にマネージャーが『聞いていない』と反応したら、こっちの動きは〝嘘〟をついている事になる。ここが一番気を付けなければならないポイントだ。そしてシートが埋まっている(はずの)トップチームへ電話。首尾良くオーナーが出た。出るなり困り果てていた。

 『実は決まっているのだが、Covidでドライバーが(英国に)入って来れないんだ』勘は合っていた。〝まさか〟はあっさりと起きた。実はこのチームのSNSをチェックしていた。テストで南米やインドのドライバーとやっているのを見ていた。つまり〝何があっても不思議じゃ無い〟と考えていたその勘が当たった。「1イベントだけお願いしたい」と言う要望を伝え、チームも『1イベントだけ走ってくれると助かる』と言ってきた。そして昨夜0時半過ぎから調整が始まった。マネジメント会社へ伝えた。物凄く驚いていたが、『とにかくこの方向で進めよう』、となった。

 しかし相手はイギリス人。釣った魚に餌はやらない典型的な人種だ。彼らが裏で結託しない様に、もう一ヶ所別の案件を作り連絡を入れて、別のソリューションもオプションBとして用意した。もしこのチームが欲をかいて不条理な条件を出してきたら、こっちは躊躇する事なくオプションBを出せば良い。
 後で喚いても『欲をかいた自分がバカだった』に持っていく。日本人や日本の企業が海外で上手くいかないのは有名な話し。それはこのオプションBを取らない事。Aで対等、Bで主導権だ。常に自分を優位な立場に置いておかないと結果損をする。またカネだけ取られる。今からオプションBを構築する。

 と、寝る間際にヒルのインスタを見ると…『お〜マイガール💓 もうちょっと待ってね…』と。それどこじゃ無いって…こっちは。。。⤵️