SFのNext 50について真剣に考えた【加筆・修正】

JRP、ホンダ、トヨタが協力して「SF NEXT 50(ネクストゴー)」開始 スーパーフォーミュラをデジタルシフトし、スマホのライブ観戦やオンボード映像・車両情報が視聴可能に


Car Watchより


Super Formulaが今後の方針を新たに打ち出した。なので少しだけ真剣に書いてみる。

残念ながら株式を公開している会社であれば、この内容は一時的に株価が上がり、それをニュースに乗せてハッピーになる内容だった。が、しかし残念ながらJRPは未公開会社。この辺、コンサルで入った会社がどこか、明け透けに見える茶番になってしまった。〝コンサル会社ってこうやって人を騙していく商売なのね〟と言うのが良く分かる展開だ。

そして答えはすぐに出た。
仮にこの発表の方向性が正しかったら、その直後に鈴鹿で行われたJAF GP - Super Formula 最終戦は少なくとも3万人の大台へ向かって行っただろうと考えられる。
それが蓋を開けたら僅か10,000人と言う酷い数字。

*2019年最終戦で20,000人

前売り券の販売枚数規制等があったとは言え…だ。

期待は人を動かす。
  • 株価はなぜ上がるのか?
  • 選挙でなぜ人は投票するのか?
それは人は〝期待〟に賭ける生き物だからだ。

F1も無く鈴鹿でのビッグイベントに飢えている顧客(観客)にしたら、最も動く動機があるのがこのJAF GPだが全く響いていない。このJAF GPの結果に関係者は強く警戒感を持つべきであろう。

今回の総選挙。本来なら『菅さんでは勝てない』から始まり、現岸田体制になった。しかしそこに至るには〝高市旋風〟が吹き荒れた事は事実で、その結果の岸田新総理だったと言う事に異論はあるまい。この段階でそもそも論の『衆院選、危ないぞ』がどこかへ飛んでしまい、結果的に岸田さんの自民党内の派閥に日和った内閣が出来上がった。その結果、自民党がこの衆院選で大いに苦しんだのはご存知の通り。

この自民党内の〝内なる論理〟で行けば岸田総裁は正しかったのだろうが、有権者と言う世間一般の人と対峙するには正しく無かった。極論を言うと新内閣発足時に高市さんを官房長官にすると言うドラスティックな人事をし、自民を圧倒的な勝利に向かわせた後、選挙後の内閣人事で今の政調会長にした方が良かったと考える。
つまり、常に〝内側の論理〟と〝世間の風〟は異なっているという事。


JRPの喫緊の課題はなんであろうか?


それは各イベントの集客に他ならない。
しかしネックは内側、すなわち株主構成を含む事業体の構成に他ならない。
昨年、トヨタ系がJRPにカチ込んだ。あまりにプロモーションがひどく、監査請求を出したと言う情報まで業界内に出回った。トヨタにしてみたら『こんだけ金出してお前ら何やってんねん?』となるだろう。一方の言われたJRPにしたら『そんなこと言ったって効果を出そうとTVもちゃんとやってるし』となる。

しかしメーカーからしたら、プロモーション費の殆どがFuji TVに行っていれば文句の一つも出る。が、Fuji TVは言うまでも無くJRPの主要株主だし、現社長の倉下氏もFujiから来ている。株主として社長を出しているんだから、仕事を持って来させる、と言う点においては間違えていない。JRPの肩を持つ訳では無いが、そこをカチ込んだら些か会社法(株主構成)的にマズイと思う。
別のやり方もあったろうに。

当然の如く、その時に現代の潮流に乗って『TVにカネを使うくらいなら、ネットを充実させろ』的な流れになったと思う。だからこそこのNext 50でデジタルコンテンツの強化が織り込まれたと考える。また倉下社長が壇上に上がっておらずJRPの中嶋会長が発表の代表を務めている事からもそれは伺える。

つまりこれはJRPを前面に出したレース業界関係者のFuji TV外しですよ。これはマズイ。完全に遺恨を残します。腐ってもTV。ネットの結果と実際の結果の違いがある事は皆、知っているはず。それは言うなれば、ネット上の選挙結果とTV(実際)の選挙結果の差異とも置き換えられる。

JRPの発足当時、日本のレース界は危機的な落ち込み方向だった。そこでFuji TVに泣き付き、各サーキットを巻き込み現在のカタチになった。

余談になるがFujiは他にも某球団を買ってお台場にスタジアムを建設し、事業化する為の試算を具体的にしていた事もある。従って当時は真剣に取り組んだはずだ。しかし残念ながらレース界はそれには反発し、ようは『俺らは今まで通りやるから、お前らカネを引っ張ってきてくれ』と言い放った。両者の溝はそこから始まった。

結果、それまで主催者からチームに払っていたスターティングマネーは支払われなくなった。このオーガナイザーからスターティングマネーが払われなくなった事で、プロスポーツ認定が取れなくなった事を認識している人が、この壇上に上がっている人たちの何人が理解しているのだろうか?

少なくともJRPの喫緊の課題は〝集客〟であったはず。しかし自分が出入りしていた頃、内部では『TとHが満足する方法』にすり替わっていた。すぐに辞退したが〝明日の日本のフォーミュラを考える会〟的なメンツ、それは現在、主要なポジションにいる人達が集まっていたが、そこで話した内容は完全に的がズレていた。

どうズレていたか?簡単だ。〝既得権益を守る為に一生懸命屁理屈を捏ねていた〟だけだった。その際たるもんがこれだろう。
実は林みのるさんのBlogに端的に書かれているので、そのまま引用させていただく。
     

本来のSFの喫緊の課題。それはまず興行面としての〝集客〟に他ならない。


不発だったNext 50の発表


残念だがJAF GPの動員数を見ると、Next 50の発表に刺激を受けて見にきたと言う観客増の空気感は感じなかった。せめて10%でもアップして欲しかったが、そうでも無かったのは残念。

では何が〝刺激しなかったのか?〟を検証する。
今回の発表は主に三つの柱があると読み取れる。主催者の発表とは表現が異なるが〝詰まるところソレでしょ?〟と言う意味でピックアップした。
  1. ドライバーのステイタスのアップ
  2. サスティナブルな技術革新(含むカーボンニュートラル)
  3. メディアのデジタルシフト
この三本が柱であると読み解いた(ざっくりね)。

この【1】は既にFuji TV主導の頃のフォーミュラニッポン時代にこの方向に振った。恐らくオリンピックの影響を受けての流れでもあると思うのだが、これに関してはまた別の機会に書く。
 これは前述したプロスポーツ機構の問題もあるし、あの時に吉本のマネジメントにしたドライバー(現監督)も作った。が、これを主軸に持ってくると、どうしても根本的な構造改革が必要となる。これだけで一本書けてしまうので後日。

【2】これは如何にもコンサル会社がどっかの会社に書いたやつを書き直した感満載だが、上場会社には効くでしょう。しかし集客には効きません。むしろ大番頭のトヨタさんが『ソレどうよ?』的なスタンスも若干あるし、何より政治臭が強過ぎて、そのうちどっかで本体が崩れるんじゃないか?とも感じる部分があるので本稿ではパス。しかも集客に繋がらない。

【3】デジタルシフト。これがカチコミのメインだそうだが、今更感が強いのと大きな勘違いを生まないか危惧している。
確かに先ごろ米国COTAで開催されたF1 US GPは40万人と言う史上最高の観客動員を果たした。そこにはNetFlixのF1ドキュメントの効果が言われている。

しかし、だよ?
NetFlixの制作技術はハンパ無く、かつてのBBCドキュメントを完全に抜いたと言われる。そりゃそうでしょう、米国のハリウッド経験者がゴマンといる人材の宝庫ですもの。

勘違いしてはいけないのは、この動員に仮にデジタルネットワークが寄与していたとしても、それはコンテンツの作り、イベントへ向かわせる観客の導線を作ったのであって、Next 50のそれは車載カメラだの順位の表示だの、要はFuji TVを外してネットで見せます!で、あって、それ結果的にサーキットに足を運ばせる客を遠のかせる可能性も相当に高い。
顧客(観客側)→スマホで見れるやん!で、終わる要因を自らばら撒いている。デジタルコンテンツはメインでは無い。

ともあれ前から彼らにも言っていたが、1つずつのイベントのバリューを上げないとどうしようも無い。今回のNext 50は完全にそこが抜けている。とは言え、上場会社の株価を上げて、最後行き詰まったらどっかと合併させて、と言う事で収益を上げている会社に書かせたら、今回のこう言うシナリオになりますよ。

また豊田社長は完全では無い。しかし柔軟。デルフィスが今、どうなったか?を考えたら、完全では無いが柔軟な事が分かるはず。『豊田社長が言ってくれた!やった!問題解決だ!』は間違い。

壇上に上がった皆様の顔色がもう一つ冴えないのは気のせいか分かりませんが、組織に一切関係ない、しかも日本に住んでいないおっさんが外国から見て見破れる内容って事は、それ全然ダメですよ?

2021年10月31日 23:19 加筆・修正