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今回の上海でのGTレースの件。
事故当事者へのペナルティなどが後に発表されましたが、本質的な問題がそこではないのは明らかです。完全に「競技運営上」の問題であり、そのような体制下で大会を開催していたプロモーター側の問題と考えます。
幸か不幸か、9月5日にendurance-info.comが当該レースプロモーターであるTop Speed代表、ダビデ・ディ・ゴビィ(以下、ダビデ)のインタビュー記事を公開していました。
実は会社としてのTop Speedの代表はダビデではなく妻のアイーダなのですが、当社も似たような構成ですのでそこは割愛します。
Présent et avenir du China GT avec Davide De Gobbi (Topspeed)「ダビデ・ディ・ゴビィ(Topspeed社)が語るChina GTの現在と未来」と題されたその記事は、以下のような書き出しで始まっています。
「ヨーロッパでのキャリアにおいてPremaに所属し、主にテクニカルディレクターやチームマネージャーを務めた後、トヨタF1での在籍期間中にドライバーの発掘にも携わったダビデ・デ・ゴッビ。彼は2004年の節目において、中国というまったく新しい地平へと足を踏み出す道を選びました。」
まず前提として、ダビデがトヨタF1に所属していたという事実はありません。
ただ、PREMAが当時のTDP(トヨタ・ドライバー・デベロップメント・プログラム)のフォーミュラ・ルノー部門において重要な役割を果たしており、小林可夢偉・中嶋一貴両選手をはじめ、平手・平中選手、ホンダ系では松浦選手など、多くの優秀なドライバーの基礎をガッチリと固めたことは事実です。
大学で工学を学んだ後、工場などのエアコンや排気ダクト等の設計会社に勤めていた彼は、大学時代の友人でPREMAに所属していた人物からの誘いで、エンジニアとしてPREMAに入社します。
細かな経緯は割愛しますが、エンジニアとしてフォーミュラ・ルノーやF3クラスで極めて優秀だったことは事実です。
しかし、今回一番の問題だと感じるのは記事中のこのやり取りです。
Comment avez-vous lancé ce China GT « nouvelle formule » ?
「正直に言って、私たちはプロモーターとしても信頼されています。自分たちの仕事(ノウハウ)を熟知していますから。
技術車検や組織運営の面で、シリーズにより高度なプロフェッショナリズムをもたらしました。
ドライバーたちも戻り始めています。彼らは海外遠征も好みますが、国内で魅力的なイベントが開催されるのであれば、やはり中国に留まる方を好むからです。そのため、昨年から再び参加者が戻り始め、エントリー台数が増加へと転じました。
エントリー数は30台、32台、33台と持ち直し、関心も高まり続けています。中国人に人気の高い上海で2レースを開催するなど、非常に素晴らしいカレンダー(日程)を提示することができました。」
話の概要としては「コロナ禍で中国が3年間ロックダウンしていた時期から、ドライバーやその他の要素が戻ってきた」という内容ですが、流石に『技術車検や組織運営の面で、シリーズにより高度なプロフェッショナリズムをもたらしました』という発言は、今回の事態を受けて「どの口が言っているんだ?」という話に行き着きます。
もちろん、彼にこれを直接ぶつければ「俺に言ってどうすんだ!」と、いつものように怒鳴り返してくるでしょう。
今回ミスを犯したのは確かにオーガナイザー側であり、ダビデ率いるプロモーター側ではありません。そこははっきりと区別すべき部分です。
ですが、しかしですよ?
中国のASN(国家モータースポーツ権轄団体)は、かつてはFASC、現在はCAMFと呼ばれていますが、実態は中国共産党の国家体育総局に属する団体です。事務所も北京のオリンピックや体育館系の関連施設が立ち並ぶ一角にあります。
当社もかつてHONDAがF1に復帰する前の市場調査の際、SAKURAの主だった方々をお連れしてご案内したことがあります。
そこから派遣される人員に、例えば鈴鹿や富士、あるいはJAFと同等のスキルや意識を持った役員がいるかといえば、甚だ疑問です(中国のサッカー界の現状を見れば察しがつくでしょ?)。
今回の問題の本質は、「ASNが派遣・組織した審査委員会や競技運営チームが機能していなかったこと」にあります。
そして「その機能していないオーガナイザー組織をバックに持ちながら、あたかも正常に機能しているものとしてエントラントに『規定の安全を満たしている』と説明し、競技会を成立させたプロモーター(Top Speed)の責任はどこまで問えるのか?」という一点に集約されるはずです。
今回、確固たる抗議の姿勢を示したのは台湾のチームでした。しかし中国本土側から見れば、台湾のチームが今後の不参加を表明したところで痛くも痒くもないでしょう。何なら「勝手に来なくなればいい」くらいの扱いです。
かつてA1GPという国別対抗レースがありました。
当時AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)で台湾のハンス・リンが大活躍し、「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」表記、つまり台湾省扱いの中で中国代表を決めるオーディションに参加しようとした際、「お前は台湾だから」とサーキットへの入場すら拒否されました。
ちなみにAFRは当時FASCの管轄ではなく香港のHKAA管轄でしたが、それでも強引にドアを閉ざされた光景は今でも強く印象に残っています。
話を戻しましょう。
アジアのGTレース界は、これまでポール(ポロ・タン/Polo Tan)が取り仕切ってきました。さらに遡れば、FRDやモータースポーツ・アジアのデビッド・ソネンシャーらが育んできたカテゴリーです。最近、そのポールの領域にダビデが食い込んできた経緯は知っていました。
ひとつ言えるのは「ダビデが歩んだ後には、ことごとく荒野が広がっている」という事実です(日本風に言うと『ペンペン草も生えない』)。
古くはフォーミュラ・アジア2.0。シロッコカップは契約満了で終了(※これは仕方ないとして)、ランボルギーニ・スーパートロフェオにフェラーリチャレンジの業務委託(これは継続中ですが)。
フォーミュラ・マスターやフォーミュラ・アバルトは終了、AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)は混乱を残して終わりました。
そしてアジアンF3では途中でF3の看板が外されて「フォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト」へ改称、それをマカオGPに割り込ませた結果、伝統のF3レースを終了に追い込む一因となりました。
そして現在のメインディッシュが「China GT」です。
私には、彼がカテゴリーを「育てている」ようにはとても見えません。ずっと「食い散らかしている」という印象を抱いています。
いずれにせよ、今回のオーガナイザーは「党(国家機関)」ですから、表立った文句も言えないでしょう。そうなると、「このイベントの安全性は誰が担保するのか?」という問いは、ある意味非常に現実的で重い課題となります。
党が「自分たちが悪かった」と認めるわけがありません。では、最終的に誰がケツを拭くのか?そこをしっかりと見極めていく必要があると思っています。
Between the flying Porsche at Laguna Seca, the World Time Attack wreck in Sydney, and now this fiery crash in China...there's been some scary incidents this weekend.https://t.co/lwU8cg66sW
— Nick DeGroot (@ndegroot89) September 5, 2026
私の関心は今回のこの成り行きを見て、ランボルギーニ社やフェラーリ社がそれぞれのワンメイクレースを託しているという立場で、今後どの様な対応をするのか?の一点に絞られました。
そして結果が出る前にこう思うのです。
「つくづくスーパートロフェオに関わらなくて良かった…」と。
なぜなら、関わったセオドールレーシングは事実上、SJMから三行半を突き付けられましたから。多分、小さくはサポートするでしょうけど、少なくとも上場企業の信用を失うには充分な要素が揃っていたのは事実です。

